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攻殻ヴィ。

vi


 誕生日の朝、スタッフの男達が抱えて来たのはコーヒー色の動く毛玉だった。
「皆からのプレゼントだ、ヴィーチャ」
 彼らの一人ーージムは快活に笑うと俺にその毛玉を抱かせた。俺は興味津々で、腕の中で動く小さな毛玉を眺めた。上等な絨毯みたいな感触のそいつは、黒曜石色のキラキラした目でこちらを見た。
「気に入ったみたいだな、名前は?」
 意外なジムの言葉に俺は毛玉を撫でていた手を止め、彼を見上げた。今まで(彼ら)が俺に決定権をくれた事はなかった。
「俺が名前をつけていいの」
「当たり前だ。そのスタンダードプードルは君のものだろう?」
 俺は暫く考え込んだ。初めて自分のものになったこの魅力的な、コーヒー色の生き物に相応しい名前などあるだろうか。やがて俺は頭に浮かんだ単語を口にしてみた。
「マッカチン」
 男達は一瞬目を見開き、お互いの顔を見合わせた。
「どうやら記憶は僕たちが思っている以上に鮮明だな」
 男の一人が小声で呟やき、押し黙った。
 その日俺は、一歳になったばかりだった。 


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